季節のお届け便(3月)



クラシックグラノーラ
モカココナッツグラノーラ
落ちた福原オレンジのマーマレード
自家製ヌテラ

土佐のきしまめ茶
そのまま食べる、切り干しだいこん
今田さんの大豆

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 あたらしい土地での生活がはじまりました。香美市香北町日ノ御子(かみし、かほくちょう、ひのみこ)というのが、あたらしい住所です。いいにおいのするような、そしてなんだか神々しい名前の土地に、ご縁をいただいて、住まわせていただけることになりました。

 母屋の一部を工房にして、ようやく自分たちの空間でグラノーラが焼けるようになりました。週にいちど、ごはんやお茶をしていただけるような空間も、4月中にオープンしたいとおもっています。敷地内の朽ちかけた小屋は、床は無垢材で張り替えて、内壁と外壁を漆喰塗りにして、夏前には簡素な宿泊小屋になる予定です。どんな風になるのか、いまからとてもたのしみです。

 家の裏、石垣の上の広大な土地の一部を耕しはじめました。ほんのわずかなスーペースであっても、とにかく種をまかなければ!毎日すこしづつ、すすきの根っこを掘り返して、ちいさな畑をつくっています。コリアンダー、大根(季節はずれですが、葉が食べられるかと思って)、それからリーフレタスの種をまきました。どうか芽が出ますように。今年の秋口までには畑を広げて、玉ねぎの苗を300本植えたいと思っています。わが家はほんとうによく玉ねぎを使うので、自給できたらいいなあ、と思っているのです。それからハーブと花もたくさん植えて、晴れた日に畑のすみっこに座ってぼんやりとその風景を眺めてみたい、そんな日を夢見ています

 夕暮れ時には、空がうつくしい茜色になって、夜にはたくさんの星がまたたき、日中はたっぷりと日の光が降り注ぎます。夜になると、車もほとんど通らなくなるので、とても静か。朝までぐっすり眠れます。

 昔からある小道をたどると、ちいさな、すがすがしい神社にたどりつきます。まだ季節ではないのに、ばらのような匂いがする、と思ったら、匂いすみれが群生していました。小道の途中、ある数メートルの部分だけその香りが強くなるので、そこを行ったり来たりして、春のほんのわずかな時間、過ぎ去ってしまう時間を、なんとかとどめることはできないものか、とぼんやりと考えたりもしたのでした。

 暦について調べていたら、春分の説明に、「日天の中を行て昼夜等分の時なり」とあるのをみつけて、その簡潔にして明瞭な、すがすがしささえ感じられる表現に、隠された扉をたたかれたような思いがしたのでした。この土地からはじめてお届けする「季節のお届け便」おたのしみいただけたらうれしいです。

季節のお届け便(1月)

クラシックグラノーラ
山のみかんのミューズリー
冬の果物の瓶詰め3種
 ゴールデンキウイと直七のジャム
 ゆずのマーマレード
 ブシュカンのマーマレード
柑橘のココナツケーキ
土佐山の炭
あわせ野草茶 または 山形の今田さんの大豆(おまけ)

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 あたらしい年が始まりました。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

 高知の山の中に住まいをうつして、1年と4ケ月。当初住めない状態だった家を、たくさんのひとの力をお借りして、なんとか住めるようにするところからはじまった、新しい生活。畳をはずして、朽ちた土台をなおして、床を貼って、壁を剥がしてペンキで塗って。その間ブルーシートを敷いての生活は、さながら屋内キャンプのような日々でした。

 山の冬のはじまりには、ゆずっていただいた薪ストーブの煙突をなんとかつけて、手持ちの薪は、たったのひとかかえだったので、山のような薪をつくることからはじまりました。なにもかもがはじめてで、ときにこころもとなく、それでも日々よろこびの中で暮らすことができたのは、地域の方々の有形無形の惜しみない支えがあったからでした。自然の中で生きるための知恵と、人々が支え合って生きること。そのありようを間近で目にできたことが、この場所で得た、いちばん貴重なことかもしれない、と思うのです。

 末永くこの土地で生きてゆきたい、もうすこし力がついてきたらご恩返しを。そんな風に思っていたのに、やはり人生とは思いがけないことばかり起きるもので、今月末に、今住んでいる場所から車で東に1時間ほどの場所で、ふたたび新しい生活を始めることになりました。

 山の中から、山のふもとの生活へ。日当たりのよい家に、裏にはひろい畑があって、工房とアトリエ、ごく簡単な宿泊スペースもできる予定です。夢見たことが、ひといきに目の前にひろがるような、そんな気持ちです。

 今年はやりたいことがたくさんあります。雄一郎は、今年翻訳本を出版する予定です。文章を書くことや、お話し会、それから長らくはなれていた音楽も。もちろん日々のお菓子を作り続けることも楽しみです。麻子は、なにをおいても土のある暮らし。日々のあれこれを書きつけることもしてゆきたいし、長年あたためていたセラピーも今年思い切ってスタートしようと思います。日々の台所仕事を、平和なこころで、との思いもあります。でも、まず願うのは家族の健康。かみさまどうかそれだけをお与えください、と切に願っています。みなさまも、どうか日々おすこやかに、ひかりの日々をすごされますよう。

冬ごもり便

今さらですが、、、12月のお届け便の記録です。



パンデピス
ジンジャースコーン
ゆずのマーマレード

ホットチョコレート
花びら野草茶
黒豆茶
山のみかん または ひょうたんかぼちゃ
実生のゆず

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 十二月のはじめ、思いがけず、パリに行く機会に恵まれました。

 十三年ぶりのパリ。高知の山の中に引っ越して、もう海外に行くこともそうはないだろうと思っていたら、ある朝、少し前まで仕事をしていたフィリピンのNGOの同僚からメールがあり、「パリで開かれる会議に来ない?」と誘ってもらったのです。

 パリは、学生時代に交換留学で1年間滞在した思い出の地。自分にとってはパンとお菓子の世界への大きな扉を開けてもらった運命的な場所です。「行く!」と即答し、久々に遠い記憶をたどりなおす旅に出かけることにしました。

 行くことに決めた10月末から、気分はすっかり「冬のパリ」。今回のお届け便にも、彼の地で忘れがたい魅力を感じたパンデピスやホットチョコレートなどがお目見えすることとなりました。

 とてもとても心配していたテロの影響は(少なくとも街中を歩く分には)それほどでもなく、とにかくまずパン屋に直行して、パン・オ・ショコラを買って、そのまま店先でほおばります。「ああこの味!」という、とてつもないうれしさとなつかしさ。最寄りの、何の変哲もないパン屋でこれほどおいしいパンが食べられる凄さに改めて驚嘆すると同時に、もはやそれが記憶の中ほど神がかった味でないことにかすかな戸惑いを覚えます。そして、十三年という歳月の長さをいやおうなく感じたのです。好みも、そしてきっと体も、変化した自分。生まれて初めて、歳を取ったような気持ちになりました。

 この十年ほどで、日本でも本当においしいパンやお菓子が食べられるようになりました。有名店はもとより、知人・友人の手作りする貴重で心のこもったパンやお菓子をいただく機会もあるし、さらには質の良い素材もどんどん日本に入ってくるようになり…改めて「今の日本はおいしいんだよなぁ」と感じ入り、一方で、「あのパリの魔法」はもう手の届かない彼方に永遠に消え去ってしまったのだと気づかされたのでした。

 …とは言え、食の都パリ。そんな感傷的な魔法などなくても、すぐに「おいしい〜!」と我を忘れさせてくれる食べ物がそこら中にあふれています。気を取り直して、もう人生最後になるかもしれないパリ旅行の限られた時間を最大限に活用し、チーズ、ケーキ、ワイン、パテにブーダン…と精力的に食い歩きをしてきました。

 遠い地の食べ物って、なぜかくも魅力的なのだろう、と思います。日常がすっかりリセットされて、また高知の山での日々がとてつもなく新鮮に感じられて、幸せと感謝を胸にパリにさよならをしてきました。

冬ごもり便

年末もすぐそこ。12月は、ふだんの季節のお届け便とは少し趣向を変えて、冬ごもりがたのしくなるセットをご用意したいと思います。
※定数に達したため、受付を終了させていただきました。



◆内容
パンデピス(フランスの冬の定番、甘いスパイス風味のケーキ)
ジンジャースコーン(土佐の無農薬しょうがでつくったキャンディードジンジャー入りの醗酵サイダースコーン)
ゆずのマーマレード(無農薬ゆずを使ったマーマレード)
冬の飲み物3種(ホットチョコレート/れんげとカレンデュラの野草茶/黒豆茶)
井上清澄さんのみかん
無農薬ゆず

◆発送日
12月17日(木)
※到着は翌日(東北、北海道は翌々日)となります。関東の時間指定は翌日(日曜)14時以降となります。

◆価格
2,800円+送料(関東信越648円、関西九州中部中国北陸540円、四国432円、東北864円、沖縄1296円、北海道1728円)

◆追加
クラシックグラノーラ小袋(120g)の追加 → +600円(送料はそのままです)
清澄さんのみかんセットとの同時発送も承ります。
※送料は、みかん5kgとの同時発送の場合は、関東信越1080円、関西九州中部中国北陸972円、四国864円、東北1296円、沖縄2376円、北海道2160円。
みかん10gとの同時発送の場合は、関東信越1404円、関西九州中国1188円、北陸中部1296円、四国1080円、東北1620円、沖縄2916円、北海道2376円、となります。

◆お申込み
お名前、ご住所とお電話番号(2度目以降のご注文の方は記入不要です)、ご希望の到着日や時間指定(あれば)を明記の上、lotusgranolaアットgmail.comまでお申込みください。

季節のお届け便(11月)



クラシック・グラノーラ
スパイスジンジャーグラノーラ
ライ麦クッキー
ブシュカンのマーマレード

清澄さんの、みかん
白いチャーテ
直七(なおしち)
ブシュカン
チャイスパイス

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 今回のお届け便は、金曜と土曜日が発送なので、木曜日に新鮮な野菜やくだものを調達します。朝いちばんに、山の上のお宅にチャーテを取りにゆきました。古い高知新聞(野菜を包むためと、読むためと)もいつもゆずっていただいています。チャーテは「なにもしなくてもどんどんひろがって、どんどんなる」そうで、他の作物が全滅でもチャーテだけは大丈夫なのだとか。生命力の強い野菜です。

 その後、木曜朝市に向かいます。となり村の鏡村のおばあちゃんからは直七(なおしち)を。「直七は素材の味をじゃませんき、なんにでも合う」そうです。いつも野菜を買っているおばさんの露店では、ちいさなかぶと小松菜、それから早生の次郎柿を選びました。この柿はぱりっとして、甘さに透明感があってすごくおいしい。目下私の中での柿ナンバーワンです。半分に切って、皮ごと屋外で食べるのが一番おいしい食べ方だと思っています。このおばさん、いつも「わたしはおいしいものしか売らんきね!」と張りのある声でおっしゃいます。

 土佐市高岡の井上清澄さんのみかん山はそこから西へ車で30分。お目にかかるとみかんのこと、蜂のはなし(スズメバチは肉食でみつばちを襲いに来る。刺されると「そっりゃあいたい」)ブシュカンや直七など「酢みかん」のこと、清澄さんが生死の境をさまよっていたときに、メジカ(魚)の焼いたのにブシュカンを搾ったのの香りを嗅いで「食べたい」と思って一命を取り留めたはなし(わたしも万が一の時には同じように、魚の焼いたのに柑橘しぼったのを目の前に差し出してもらおう、と心に決める)など。まだまだ聞いていたかったけれど、みかんとブシュカンをいただいて、また今度!と手を振る。帰り道に、いつも必ず寄るソフトクリーム屋さん(ジャージー牛を3頭、なんと!ペットとして飼っていて、そのお乳をつかっている)でプリンソフト(プリン+ソフトクリーム)をいただく。おいしいものは、どれだけこくがあっても、味が濃くても、透明感があるとおもう。それに加えて、味を超えたなにかがあるような気がするのです。

 いつも行く魚屋さんで鮭(おむすび用)と魚のあら(猫用)と小鯛4匹(今夜のごはん用)を買って、オーガニックハーブ農園でカレーリーフ(ほとんどの南インド料理にはこの葉っぱが入っている)を二枝いただいて帰途についたのでした。たのしくも目まぐるしい木曜日でした。

季節のお届け便(10月)



クラシック・グラノーラ
秋のマロングラノーラ
パンプキンビスケット
カレーリーフのクラッカー

鏡村より、山のみかん
新しょうが
ゆず玉
ぎんなん
ブシュカン

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 山の秋、気温はドラマティックに変動します。朝晩は肌寒く、長袖にかるいウールの上着をはおって、首まわりにはうすいカシミヤのマフラー、足元には毛糸の靴下を、夜はゆたんぽをふとんにしのばせます。

 かなり冷え込んだ朝、近所のお宅を訪ねると、すでにストーブをたいていて、室内がほっとする暖かさに満ちていました。心の準備をするよりもはやく、火の季節がやってきたようです。一方、晴れた日中は気温もぐんとあがり、あわてて半袖に着替えたり
しています。

 家の入口にある金木犀が、家のすみずみにまで芳香をゆきわたらせ、空気はどこまでも爽やかで、玄関を一歩出ると、山の稜線が目の前に連なっています。夜はもう冬の空気なので、星がいっそうくっきりと漆黒の空にちらばっています。朝早く起きて外に出ると、金星だけが、なにかのしるしのようにひかっています

 ベトナムに住んでいる友人一家が、わが家にあそびに来てくれました。総勢5人のこどもたちとの日々はことさらにぎやかで、朝昼晩のごはんとおやつもおおさわぎ。柿をむいて、梨をむいて、おいもをふかして。ある夜は1時間で夕ご飯をこしらえなければならず、とりあえずご飯を炊き(7合!)、茄子を油多めで蒸し焼きしたのに麺つゆで味付けしたものや、おくらの薄切りにごま油と醤油、かつおぶしであえたの、きゅうりの薄切り梅酢和え、つくってあった煮卵を切ったのなどを琺瑯のお皿に入れて、めいめいがご飯の上におかずをのせて食べたところ「ベトナムのごはんみたいだね!」。次の夜は、お子たちと殿方が温泉に行っているあいだに、台所でえんえんとおしゃべりしながら文字通り山ほどの野菜の揚げびたし(かぼちゃ、いんげん、ピーマン)をつくったのでした。

 夜、こどもたちが寝静まったあとは、おとなの時間。ベトナムのことあれこれをユーモラスな話芸にのせて、これからのこと、やりたいこと、住みたい場所、考えていること、迷っていること、と話は尽きないのでした。 自由の風をまとって、遠く海を越え、軽やかに土佐山に降り立った家族とすごした数日間は、「いま」のすばらしさを存分におしえてくれたのでした。

季節のお届け便 9月



クラシック・グラノーラ
紅茶のメープルグラノーラ
栗のブランデーケーキ
ライ麦カカオクッキー

土佐の酢みかん〜すだち、直七、ブシュカン
完熟梅漬け
早生みかん
野草チャイ

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残暑がないままに、季節は秋に入ったようです。夏のあいだ、ひたすらに食べ続けた、揚げびたしそうめん、冷や汁、生野菜と薬味の和え物はすっかりなりをひそめ、かぼちゃのポタージュや、ミネストローネをこしらえる日々です。秋になると、スープが食べたくなります。栗のあるあいだはせっせと栗ごはんを炊いて、さつまいもをふかしてバターと塩でおやつにするのもうれしく、ブシュカンを味わいたくてまだ値の張るさんまを求めたりしています。

先日は、わたしたちの住まう地域のちいさなスーパーの前で湯気のたちのぼるカップラーメンをすすっているウェットスーツすがたのおじさんを見かけました。「鮎をとっているにちがいない」―今年一度も口にしていない鮎を食べてみたいとの気持ちから、「おじさん鮎売って」とお願いしたところ、「売るほどないからやるわ。何匹いるんや?」とくださったのでした。夕ご飯には、オリーブオイルをしいたフライパンで焼いたちいさな鮎を家族めいめい一匹づついただいたところ、生まれてこのかたこんなおいしい鮎を食べたことがない、と思うほどの味でした。

ここのところ、「毎日手紙を書く」ということをはじめました。日記をつける、ではなくて手紙を書く、です。ついつい後回しになってしまっていたお礼の手紙。伝えたいこと。気になっていたあのひとに。「手紙を書くこと」を日々の最優先事項に位置づけたところ、なんて気分がよいのだろう!とはればれとした気持ちです。便箋数枚でも、夜になってしまってくたびれていたならはがきに一文でも、新聞の切り抜きに書き添えたメモだけのこともあるのです。毎日手紙を書けるなんて、何て自由なんだろう、そして、82円切手一枚貼るだけで日本全国数日中にほぼ確実に手紙が届くなんて魔法みたい、と思います。そう思うと、新幹線や飛行機だって、どこでもドアみたいなものだし、クロネコヤマトの時間指定はもはや神業としか思えません。

7月の季節のお届け便

今さら(!)ですが、ぐぐぐと遡って7月の季節のお届け便の記録です。

ちょうど発送日に台風が高知を直撃し、「発送できるのだろうか・・・」と思いながらの発送でした。大雨と大風の中、しずかな室内で黙々と梱包作業をしたのを思い出します。結局、台風の被害はまったくなかったのですが、そんないつもと少し違う状況の中で、写真を撮るのをすっかり完全に失念してしまいました。

お送りしたのは、

クラシック・グラノーラ
レモングラス・グラノーラ
完熟梅のスコーン
糖蜜のスパイスナッツパイ

季節のもの、あれこれ
赤しそとカルダモンのコーディアル
小夏のマーマレード
新月茶

でした。

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 これを見た、聞いた、感じた、とそうでないとの間には、生きてゆくうえておおきなへだたりがあるのではないか、と感じることがあります。まず思い出されるのが仁淀川源流の色。この世のものとも思われぬ、吸い込まれるような色彩に、視線がうごかせずにいたほどです。
 この世のものとも思われぬ、とつながるのですが、春に熊野に行ったときに目にした「この世のはじまり」の風景。太古の時間が、そのまま現代に流れている、時間は直線ではなく、過去も未来も同時に存在するのだ、といわれていることが、おぼろげながら感じられたような瞬間でした。あちらの世界とつながる場所は、思いもよらぬ場所に出現するのだ、とも。
 あるいは、年配の方々の経験と知恵あふれることばのかずかず。ことばのみならず、まなざしの深さ、声の温度、幾多のはたらきが刻み込まれた手。決して失われることのないように、どれもをそのままにとどめておきたい、そう切望するのに、時間はなんの躊躇もなくそれらをのせてながれてゆくのです。
 とある親密な演奏会で、音楽が「立ちのぼる」瞬間に居あわせたこと。芸術とカテゴライズされるかずかずの行いがたどりつこうとしている、「そのもの」が何であるかくっきりと感じられたことに、大いに興奮したのですが、不思議なことに、それがいったいなんであったのか、いまでは全く思い出せないのです。
 食べるもの、についてはひとつ、こんな風なことも言えるかとおもいます。おいしい食べ物、というものはたくさんあって、日々のたのしみとしても、食材の見極めという点においても大切にしてゆきたいとおもうのですが、一方、ここのところ味を超えたもの、があるような気がします。だれかの手から生まれたもの、食べ物にのせられた好意、物語、など。みかん山で手渡された黄金柑のかがやき、友人のつくってくれたお昼ごはん、笑顔とともこどもに手渡された棒付きの飴。なにかこう、ひかりのようなものが宿っているかんじ、その時、その瞬間のたしかさ。それらはぜんぶ、からだの深いところにしずかに落ちてゆき、記憶からこぼれおちたとしても決してなくならないものだと、ずっと自分と一緒にありつづけるものだと、そう感じます。

※「季節のお届け便」のお知らせをご希望の場合は、lotusgranolaアットgmail.com(アットを@に変えて)までご連絡ください。

季節のお届け便

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グランーラとおやつ
 クラシックグラノーラ
 ばらとこけもものグラノーラ
 ”本当の”コーヒーケーキ
 フレッシュハーブクラッカー

季節のもの、あれこれ
 むかしの番茶
 煎り玄米(あられ)
 完熟梅干し
 インカのひとみ
 新にんにく
 新赤玉ねぎ

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 梅雨前は、梅しごと。今年は小梅を6キロ、みりん梅酒、梅シロップをひと瓶づつ仕込みました。梅酒には青梅を、梅干しには熟れた梅を。朝市で目にするさまざまな大きさと色あいの、たくさんの梅、地域の方に分けていただいた好意をまとった梅、そんな梅のかずかずを、おもうぞんぶん手に入れて、なにもかもを忘れて、ひがな梅仕事ができたらどんなにたのしかろうと思います。
ちいさなほったて小屋をようよう立てて、そこで梅干しいろいろ、梅シロップ、手前味噌やらっきょう漬け、梅ジュースをおすすめしたり、お客さんがちっともこなかったら、古い新聞を次々と読んだり、遠くはなれた友に手紙を書いたり...そんなことを夢見ています。

 いちばんおいしい梅干しは、ひとの手から生まれたもの。梅を手に入れ、塩をえらび、漬けて、紫蘇をもみ、干して、また漬けての行程のあわいで、つくり手のエネルギーが、だんだんに梅に浸透していくようなイメージでいます。わたしは真っ赤な梅干しが好きで、赤紫蘇をたっぷりと使うのですが、紫蘇すくなめの淡く色づいた梅干しも、上品でよいもので、それぞれのかたち、ありよう、ということについて考えさせられます。

 夏のように暑い日があったかとおもえば、あくる日はぐっと冷え込んだり、なかなか体がついてゆかない日々でした。そんな時は、あたたかいお茶漬け。小鍋にお湯をわかし、冷ご飯にかけて、湯を捨ててご飯をあたためます。梅干し、あられ、細かくちぎったのりを散らして、塩をひとつまみ、醤油をひとたらし、その上からお茶を注ぎます。温かいお茶、梅干しの酸味、あられの香ばしさに海苔のこくが混然一体となって、すこしつかれた体をゆっくりと、なぐさめてくれるように思います。たくあんや古漬けを刻んだものや昆布の佃煮を組み合わせてもまたおいしさがひろがります。


※「季節のお届け便」のお知らせをご希望の場合は、lotusgranolaアットgmail.com(アットを@に変えて)までご連絡ください。

 

季節のお届け便 5月

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「立夏」―りっか。新緑がうつくしく、夏の気配が感じられる季節となりました。

クラシックグラノーラ
新緑のグラノーラ
オレンジとアマレットのケーキ
文旦はちみつマーマレード

ばらのスパイスコーディアル
新むらさきたまねぎ
新にんにく
香りきゃらぶき

初夏のにおいが、とつぜんに感じられる、その瞬間、みえないけれど、たしかな幸福の手ごたえを感じます。夏そのものが訪れたときよりも、夏の気配の方がより夏らしく感じられるのは不思議な気もしますが、空気が変わる、その春と夏のあわいは、なにかのびのびとした自由があるようにも思えるのです。

黄金週間には、順繰りに3組のお客さんが遊びにいらしてくださいました。ぎゅっとつまった瞬間のつらなりが忘れがたい思い出となって、ついこのあいだのことなのに、なつかしく、同時に鮮やかにも感じられます。寝食をともにすると、理屈ではなく、関係性がくっきりとした立体感とふわりとした親密さを帯びるのは、これもまた不思議なことですがそんなご縁ほどすばらしいことはありません。

1月のふきのとうからはじまって、若いふき、のびやかなみずみずしいふきをへてすこし茎が硬くなっいまごろが、きゃらぶきを作るのにふさわしい時期だと知ってすぐさま畑のすみに自生するふきをかごいっぱいに摘んで、よく洗って刻んで、いちばん大きいなべに放り込み、煮ては冷まし、煮ては冷ましで味をふくませ、伽羅色に仕上げました。醤油とみりんをベースに、なにかしら雰囲気のある香りをつけたくて、新にんにく、しょうが、唐辛子とコリアンダーシードを加えました。手間はさほどかからず、時間だけをふんだんに使って作るささやかな季節の常備菜をこしらえる時は、いまの季節が、いつもこころ強い後ろ盾となって、その工程を見守ってくれるようにも感じられます。

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